仲間由紀恵とオダギリ ジョーが、伊賀と甲賀という敵対関係にある「忍(しのび)」を演じる新感覚アクション。原作は山田風太郎の「甲賀忍法帖」だが、本作は、その原作をコミック化した「バジリスク」の世界に近い。17世紀初め、徳川家康の命によって戦うことを命じられた伊賀と甲賀。それぞれから選ばれた5人の強者には、伊賀の朧、甲賀の弦之介もいたが、ふたりは愛を誓った仲だった。
対立する勢力同士の愛の物語は、『ロミオとジュリエット』を連想させ、殺し合わなければいけない宿命によって、その愛は壮絶を極める。主演ふたりは、持ち前のスターのオーラを放ち、共演者も、女の色香を武器にする黒谷友香を筆頭に個性的。忍たちが繰り出す術はバラエティ豊かで、変身や、鎌や剣の秘技、虫を操る術にはCGも駆使され、幻想的で妖しい空気が立ち上る。崖に作られた忍の住処など背景も目を見張るのだが、術のオンパレードという展開は、やや単調。もう少し、忍たちの内面に切り込んでいたら、物語に奥行きが出たはずだ。(斉藤博昭)
まず、山々の色彩美に見とれてしまいます。それに、超人的な忍術を持っているがために殺し合いをさせられる甲賀・伊賀の忍たち。その華麗な術に目を奪われれしまいますが、なにより伊賀の薬師寺 天膳・甲賀の陽炎の戦いは原作とは違う不老不死の男と死をつかさどる妖女の悲哀さがにじみ出て切なくなりました。戦士一人一人がよく描かれていて見ごたえのある作品です。原作ファンの方もぜひ見てみてください。