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定価 : ¥ 3,990
販売元 : 日活
発売日 : 2007-04-27 |
弟の大学の学費のために盗みに入った邸宅で、誤って女性を殺してしまった剛志。千葉の刑務所に服役中の彼の唯一の支えが弟の直貴から来る手紙。しかし、兄が受刑者というだけで、差別され、仕事も転々とし、恋人にもふられ、夢さえ打ち砕かれてきた直貴。兄を思いながらも、その存在の大きさ、罪の大きさに彼は押しつぶされそうになる。そんな彼が所帯を持った。守らなければならない妻、子どものために、直貴はある決心をした。
直木賞作家・東野圭吾が描いた小説をTVドラマでおなじみのヒットメイカー生野慈朗が映画化。加害者の家族を主人公にする大胆な試みだが、登場人物の心情にきちんとよりそい、ときには心にグイグイと入り込む演出は、罪を背負って生きる兄弟のドラマに見るものを釘付けにする。陰のある役がよく似合う山田孝之が、兄への思いと妻と子への愛の間で苦しむ直貴を熱演。意外にもさわやかなイメージの玉山鉄二が受刑者の兄を淡々と演じながら、最後で泣かせてくれる。ひとりの人間の犯した罪により、家族がどんなに苦しむか。そこから生まれる差別との闘いのドラマは確かにヘビーだが、弟の怒り、哀しみ、諦めなどの感情がうなりをあげて見る者の感情をゆさぶり、目が離せない 。まさに感動作だ。(斎藤 香)
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兄がいる幸せ |
私自身、兄がいるので、弟役の山田孝之の目線で感情移入ができました。
ややリアリティに欠ける設定もありましたが。兄弟の感情は本物だと感じました。
たとえどんな大きな欠点があっても、弟にとって兄はヒーローであって欲しいのです。
そして、兄は弟が想像する以上に弟のことを大切に思っている。
ラストの漫才のシーンで「それでも兄貴ですから」を繰り返す弟の姿に、すごく共感
しました。家族の絆は、自分自身が思っている以上に、ずっとずっと深い。
玉鉄の涙は演技を超えていて、本物の兄弟愛を感じさせました。
兄に才能や社会的地位なんてなくてもいい。兄がいる、ただそれだけで弟は幸せなのだから。
そのことに気づかせてくれる、心のこもった本物の映画でした。
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罪とは何か? |
映画「手紙」を見ました。
もんのすごく良かったです。
ラストシーンは号泣でした。
罪とは何か?
贖罪とは何か?
そして家族とは何か?
そんなことを考えさせられます。
「差別のない国を探すんじゃない。君はここで生きていくんだ。」
世の中にはやっぱり生きていくには、
いろいろな問題があるのだと思いますが、
時にはそれをカチ割ってでも進む必要があるのだと思います。
いままで生きてきて、
少しずつ紡いできた、1つ1つの絆という糸。
この糸を決して切らないように。
この糸を少しでも太くしていけるように。
生きていこうと思いました。
中嶋みゆきの歌で、
縦の糸は貴方。横の糸は私。
織り成す布はいつか誰かを暖めうるかも知れない。
って歌詞があったけど、まさにそんな雰囲気の映画でした。
抽象的な感想ですが、
ぜひ見てほしいので、曇らせて書いてみましたw
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犯罪者が家族に及ぼす影響を描いた意味深い作品。沢尻エリカがとんでもなく可愛い |
強盗殺人犯の弟というだけで、本当にここまで差別されるのだろうかと映画を見ていて思ったが、映画を見ている我々は、兄は本当は過失で殺人をしてしまい、刑務所では極めて模範囚であるとか、弟も成績優秀、勤勉、男前でユーモアもあるということ(こういうケースは極端だと思うが)を良く知っているからあくまでそう思うのだろう。
実際に、自分の身近で、よく知らないひとの肉親が強盗殺人犯だったとしたら、ひょっとしたら、金を奪い取り、なんのためらいもなく殺人を犯すような人物で、兄弟で暴力を世間に迷惑をかけ続けてきたような人生をたどってきた可能性も十分ある(正直そういうケースの方が多いという印象)わけで、そんな人間のそばに、大切な娘や子供を置くことはやはりためらうのは間違いないだろう。
そういう意味で、ケーズ電気の会長の言葉にあるように、いったん罪を犯すと、自分だけの分をつぐなえばよいというわけではない、ということが切実に分かる非常に意味深い作品であると言える。
ただ難を言えば、ちょっと美化されすぎているように思う。
評論はさておき、沢尻エリカ、可愛いすぎ。顔が小さくて人形のようだ。こんな女の子に、特に意味もなく(あったんだろうけど映画では説明されない)ただ好かれるというのは、かなりうらやましい気がした。
沢尻エリカはタカピーな印象がすっかりついてしまったけど、演技はなかなかのもの。関西弁も含めて決して女優といえるほどではないけど、アイドルの演技からは、はるかに上をいっているので感心してしまった。
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感動はできたがもうチョイ |
見てて結構違和感のあるところがあった。
強盗殺人って言っても、見ている限りでは過失致死だし、これだけで無期懲役になるか?
さらに親のいない兄が弟学費を稼ぐために仕方なくという同情の誘いやすさ、
兄の罪にかこつけて弟を不自然にけなす(ゆみこ、ユースケ等は除く)周囲など、
設定にいろいろ無理がある。
直貴が「結婚するからお笑い辞める」って言った嘘をついた時、
ユースケが何故それに気付かなかった?
相方の兄貴がムショ行ってるのがばれたのは知ってるんじゃなかったのか?
「兄貴、もう手紙書かないでください」って直貴は剛志に手紙書いてたけど、
あの直接の原因はやっぱりあさみと別れさせられた事か?
だとしても「大好きな女性との結婚もあきらめ…」につながる感じがしない。
そのなかでもいい味出してるのが平野会長。
「差別のない場所を探すんじゃない。君はここで生きていくんだ。」
理想の光を求めるか、現実の世界の中の闇の中で生きてゆくか、
多くの作家が抱えてきたテーマだ。
東野は後者を選んだ。
自分ひとりで差別のない環境を作り出す事ができない以上、逃げていたってしょうがない。
それならば、自分の置かれた状況を把握して、精一杯努力するしかない。
東野に代弁してそのことを教えてくれる、地味だが重要なキャラだ。
最後に直貴がユースケと刑務所で漫才やろうぜ、って言ったときの直貴の台詞もいい。
「兄貴はバカだけど、アスベストみたいなもんだから捨てられないっすよ。
しょうがないですよね、血が繋がってますから。」
最後の手紙を書いたとき、何の罪もないのに被害を受ける娘がいる事実に気付き、
傷つきながらも兄を捨てる決断をした直貴。
だがそのあとも、直貴は割り切れない感情を残していた事がよく分かる一言。
それにしても最後の「言葉にできない」はギャグだろ?。歌詞が合いすぎてて笑ってしまった。
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逃げてはいけないということ。 |
どれだけ普通に生活していても、家族のことを信頼していても、
私たち自身が「犯罪者の家族」となってしまうことは
決して起こらないとは言い切れない。
「手紙」は強盗殺人犯の弟の社会的制裁と葛藤を実にリアルに描いた
メッセージ性の大変強い作品であった。
とりわけ、犯罪者が犯す罪は、犯した本人の家族にまで多大なる影響を与え、
それらの人々の人生までメチャクチャにしてしまうという事実が、
実に鮮明に伝えられている。
犯罪の愚かさ、犯罪者の後悔の念、家族のやりきれなさ、
人を想うということのあたたかさ、
生きている限り多くを諦めなければならない人の存在、
生きている限り苦しみを背負って生きなければならない人たちの苦しみが、
この作品からまっすぐに伝わってくる。
主役の山田孝之、主役の兄で殺人犯を演じた玉山鉄二、
主役の恋人役を演じた沢尻エリカ、これら3人の演技、
そして作品中でK's電気の会長を演じた杉浦直樹の言葉が心に残った。
差別のない場所を探すのではなく、
差別のある場所での生き方を探さなくてはならない…。
言い換えるなら、我々は自分たちが好まない環境であっても、
そこで生きていく方法を探さなければならないということになる。
逃げている限り、きっと同じことが起こるし、
それは私たちの心にさらに大きな傷を残すことになる。
逃げないことの大切さを改めて教えてくれたこの作品に感謝したい。