タイトル通りのスケールの大きな話を期待して見ると肩すかしを食らうと思います。
江戸幕府初期の主要なエピソードを繋ぎ合わせて壮大な陰謀劇があったかのように
仕立て上げていますが、結局ちゃんと描かれているのは鍵屋の辻の決闘の一件のみ。
伊達政宗、蜂須賀蓬庵など一癖も二癖もある人物が妙に意味ありげに登場しますが、
終盤にはその存在すら忘れられてしまっている始末。あまりにも風呂敷を拡げすぎ、
各エピソードが細切れになってしまって収拾がつかなくなった感がアリアリでした。
物語の核となる主人公もイマイチだったように思います。柳生十兵衛は役者の体格の
問題もあってか全く強そうに見えませんでしたし、何の見せ場もないままに狂言回しの
役のみで終わります。一番の主役のはずの土井利勝も、それなりに出番があったのは
家康から幕府を託される序盤のみ。あとはたま?に数分ずつ登場する程度で、とても
主役といえる扱いではなく、「せっかく歴史通好みの人選なのに…」とガッカリでした。
また、(この枠では毎年そうですが)名優がズラリと揃っている中に明らかに場違いな
出演者がそれなりの役で出演していたりするのも残念でした。今年のように退屈な
展開が続く作品だと特にそれが目立つので、今後はどうにかしてもらいたいものです。
ただ一点、村上弘明さん演じる荒木又右衛門はすごく良かったです。彼が出てくると
画面が引き締まって見え、ハイライトの鍵屋の辻の決闘のシーンでは思わず見入って
しまいました。10時間はムリですが、このエピソードのみの話であれば作品の評価も
かなり良いものになっていたに違いありません。その辺を加味して、何とか☆2です。
放映前の年末、渋谷駅のホームに貼ってあったポスターを見て思わず写メ‥大好きな村上さんが、剣豪・荒木又右衛門を演じる!という事で、久しぶりに意気込んで観たお正月時代劇でした。
実在人物が登場する時代劇は配役が成否のひとつの要だと思うのですが、村上さんの荒木又右衛門は本当にハマり役で、今度はPHP文庫から出ている黒部亨原作の荒木又右衛門も演じてくれたら‥と思うほど。
様々な徳川家系の役を演じてきて貫禄の西田敏行さんも良かったし、槍の名手・桜井半兵衛役が榎木孝明さんなのも良かったです。
話も長時間の中で飽きさせず纏めてあったので、なかなか楽しく見終わる事が出来ました。
残念だったのは中村獅童さんの柳生十兵衛役‥十兵衛役は前年村上さんが金曜時代劇で演じていて、すごくかっこよかったので、どうしても比べてしまって獅童さんでは物足りなさを感じてしまいます。でも、今の芸能界に剣豪を村上さん以上にかっこよく演じられる役者さんがいないから仕方がないのでしょうね‥。
ということで、村上さんファンにはぜひおすすめの時代劇です。