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定価 : ¥ 4,935
販売元 : 松竹
発売日 : 2005-11-26 |
江戸時代、何度殺しても生き返る悪党・祇右衛門がまた斬首された。その後町では彼のおどろおどろしい噂があふれかえっていく。そんな中、百物語を書くことを目標にしている作家・百介(吹越満)は小股潜りの又市(渡部篤郎)、山猫廻しのおぎん(小池栄子)、事触れの治平(大杉漣)ら無宿人たちと知り合う。そしておぎんは祇右衛門の秘密を知っているようなのだが…。
京極夏彦の『続巷説百物語』を原作にWOWOWが製作、ドラマW枠でオンエアされたTVムービー時代劇。監督は堤幸彦。物の怪の正体を解き明かすミステリに『必殺!』シリーズの要素を加えた娯楽作となっており、また『ケイゾク』『トリック』などを彷彿させるユーモアもふんだんで、各キャラの魅力も大いに引き立っているのは堤監督ならではの持ち味といってもいいだろう。(増當竜也)
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堤色が強い |
2005年リリース。京極夏彦の素晴らしい原作を『ケイゾク』や『TRICK』の堤監督がどう映像化するか、期待して観た。
で、僕なりに結論としては『若干残念』ということになる。なにしろ堤色が強すぎる。自分の色を出そうとしている箇所が随所に感じられてそこが鼻についてしまう。配役も脚色も微妙に僕の持っているイメージと違った。しかしながら頑張っているとも思える。それだけ原作が文字で仕掛けてくる見事な世界を映像化するのは奇跡に近いのも知れない。でもかすっているなぁ、という感じだ。
ただ、堤監督向きの作品も巷説百物語には残っていると思う。『船幽霊』とか『七人みさき』なんかピッタリだと思う。是非ともこの面子で作って欲しい。
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「御行奉為(おんぎょうしたてまつる)」 |
俺的評価70点(100点満点)ちなみに原作は未読です。
現代の占い、霊感ブームにその残滓を十分に見ることが出来るわけですが、昔の人間にとっては妖怪、幽霊は現代の事故、犯罪と同じくリアルな日常であったわけですが、それを作り出すのはすべて人間の心であるというお話です。
「不死身の祇右衛門」の謎を巡るプロットも見事ですし、渡部篤郎、吹越満をはじめ実力派演技人の見事な演技も見所です。
内容は、魔除けや厄除けの札を売り歩くことを生業にしている坊主「小股潜りの又市」、義太夫節を語りながら片手で人形を操る人形遣い「山猫廻しのおぎん」、薬の調合・彫り物までこなす変装名人「事触れの治平」、古今東西の怪談集めに奔走する物書き「山岡百介」、北町奉行所の与力「笹森欣蔵」、北町奉行所の町方同心「田所真兵衛」などの一癖もふた癖もある登場人物達が、「斬首されても、殺しても殺しても生き返るという、不死身の祇右衛門。」のなぞを巡る物語を解き明かしていくと言うもの。
主題としては闇を恐れる人の心と欲望が怪物を生み出すと言うものですが、もう一つの軸として「超えられぬ身分」というキーワードがあり、これがすべての原因として位置づけられています。(と思えます)
私的には、「闇」「欲望」が怪物を生み出すというテーマだけで十分成立する物語だと思うので、「身分」というテーマは必要ないかもと思いますが…これは作者(監督?)が古代の身分制度というものをステレオタイプ的にとらえすぎているのでは?と勘ぐってしまうのですが。
その時代の人間がそう深く考えていたかというと…昔の話をベースに現代の差別問題を語りたかったのかしら?
あとクライマックスの「又市」と「笹森」の対決シーンの決着が怪しげな薬というのはどうも…まあ、そのほうが「又市」らしいのかもしれませんが、そこはバシッと決めてほしかったのです。
妖怪もの、時代劇ファンだけではなく、謎解き、推理物が好きな人にも十分楽しめる、作品になっています。
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面白かった |
あえて原作を読まずに映画の方から見たためか、映画版『姑獲鳥の夏』の端折り具合にがっかりした後だったためか、予想以上に楽しんで観れました。主役の小股くぐりの又市役の渡部篤郎さんがいい味だしててかっこ良いです。
初めは‘京極夏彦’と聞いて暗めの話かと思っていたので、意外とコミカルな雰囲気に驚きましたがちゃんとシリアスな場面とのメリハリがつけてあるのでテンポが良かったです。(正直言うと占い師の横で踊ってるおやじはまんまTRICKなのでそこはやりすぎだと思いましたが…)作風が『TRICK』『ケイゾク』と似たような感じなので京極ファンでなくても堤監督作品ファンの方にもお勧めできる作品だと思います。
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時代劇を舐めるんじゃない。 |
原作「巷説百物語」シリーズは、京極堂シリーズを逆の視点から再構築している、「種も仕掛けもある憑き物憑かせ」の物語である。さらに、必殺マニアでもある京極夏彦氏が、「必殺仕置人」「跳べ!必殺うら殺し」の二作品の影響を濃密に匂わせて、小股くぐりの一党を描いているように思えてならない。
本作の原作は明らかに「必殺仕置人 第一話 命を売ってさらし首」に着想を得ている。さらし首になった罪人は実は。。。。という仕置人のストーリーを膨らませる一方、弱者の恨みに同情しつつも、己が手を汚さぬ復讐を断罪する仕置人の視点を理解した上で、原作者の京極氏は、神ならぬ身に断罪などおこがましいと又市に嘯かしているのである。
つまり、ある種の汚さ汚さを持って、又市一味と百介の超えられない一線としているのだ。そういう点を脚本や演出は本当に理解しているのか?という事が疑問である。
「金田一少年」や「ケイゾク」など新本格ミステリドラマのジャンルで頭角を現した堤の起用に、そもそも問題があるのかもだ。「巷説百物語」は、全ては論理に始まり論理に終わる。一つの理を妖しにパラダイムシフトさせるプロセスが面白いのである。時代劇にする意味は、そこにあるのだ。
にも関わらず、現代建築様式の空間演出や、お定まりの楽屋落ちギャグ、キャラクター造詣といえば変人とするワンパターンな堤演出は、時代劇というジャンルを舐めているオーラが濃厚で、甚だ不快かつ、大失敗をこいている。
ストーリーは原作をほぼ忠実になぞっているのでつまらなくは無い。だがキャラクター造詣含む演出に、堤幸彦の底が知れてしまう。
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大満足でした。 |
wowowでこのドラマを見ました。
原作とはちょっと違うのですが、配役といい、堤監督の映像感といい
映像化された京極夏彦さんの作品の中では一番に良かった作品でした。
出来ればこのまま映画として全作品を撮って欲しいくらいです。