テンポの速いカット、テクニックを駆使した映像表現、絶え間なく乱れ飛ぶセリフとアドリブ、一部の人にしか分からないマニアックなギャグ…このシリーズのこのタッチは、どこかで見た感じだ…と思い出してみたらドラマ『池袋ウエストゲートパーク』にそっくりなのであった。メイン監督の大根仁は堤幸彦監督のオフィス・クレッシェンドに所属しており、その影響と関連性は濃厚と見られ、舞台をネオ歌舞伎町に限定していることからも、製作サイドとしては特撮ヒーロー版IWGPのセンを狙ったのかも知れない。
クライマックスにあたるエピソード12、13では、豪山によってジュニア、果心居士らレギュラー・キャラが根こそぎ斬殺されるというショッキングな展開。まさに凶器と化した豪山を、石橋蓮司が不気味に好演。一方ネオ歌舞伎町から逃れた獅子丸と錠之介やりとりから錠之介の童貞告白、ワイヤーアクションが炸裂する豪山との対決、錠之介の爆死、そしてタイガージョーJr.の誕生を予感させるラストまで、一気呵成に突っ走り、見せる魅せる。シリーズをコスKのナレーションで締めるあたりも深い余韻を感じさせる。
ウルトラマンが40周年、仮面ライダーが生誕35周年を迎えた2006年。「ライオン丸G」はその2006年の最終コーナーに咲いた猥雑なあだ花だ。 本当に凄いヤツは、テレ東の深夜にいた。傑作。(斉藤守彦)