石井康晴
映画 クロサギ「毎度あり」エディション [DVD]
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人気ランキング : 34033位
定価 : ¥ 6,300
販売元 : TCエンタテインメント
発売日 : 2008-09-16 |
2006年にテレビの連ドラとしてオンエアされ、平均15.7%の高視聴率を記録した人気作品の映画化だ。詐欺にあって一家心中で家族を失った黒崎(山下智久)が、復讐のために詐欺師(シロサギ)を騙すクロサギとなり、次々とシロサギたちを喰い尽くしていくというのがテレビシリーズの内容で、今回もその基本は踏まえた上での作り。ただ今回はなかなか騙されないシロサギの物語となっており、映画らしくスケールも大きい。
加えてその黒崎と対決するシロサギに扮したのが竹中直人。これまでもテレビシリーズでは、シロサギたちのフィクサーであり、黒崎の仇でもありながら黒崎に情報を振る桂木役で山崎努が出ていたし、毎回黒崎が倒すシロサギには大物スターが扮してきた。今回は竹中直人が渋い演技で悪役を演じ、さらにそこに大地真央や笑福亭鶴瓶など個性的な役者たちを取り揃え、ドラマのレギュラーなどを加えることで映画全体を盛り立てていく。 惜しいのは画の構図などがテレビ的な雰囲気になっていること。あえて映画になったからといって雰囲気は変えない作戦だったのだろうが、もっとそこで華々しさを出しても良かったのではないか。堂々とした山下智久の演技は素晴らしかったし、せっかくシェイクスピア劇の『ジュリアス・シーザー』を物語に絡めたりと脚本も凝ったことをしているのだから。(横森文)
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迷う |
僕が主人公なら、由衣ちゃんと真希ちゃんのどちらを食べるか迷います。
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脚本に深みがない。演出にキレがない。 |
TVドラマは未見なので、映画の感想を。サギ師を騙すサギ師、なんてもの凄く面白くなりそうなのに、まれに見るダメな脚本のおかげで台無しになった感じだ。ジュリアス&シーザーのイメージとか、オセロが最後ひっくり返るイメージとかも、何かイメージだけで終わってしまったし。また竹中直人は素晴らしい俳優だが、悪の巨頭を演じるには「小粒」すぎる。冷酷な感じが全く感じられず、ゆえに憎々しく見えないのだ。それと、堀北真希の使い方は何だ、あれ?的なレベルであり、本人も戸惑ったのではないか。感情表現が上手い女優だが、今回ばかりは活かしようがなかった。市川由衣に至っては、そこいらのエキストラでも良かった役で、これまた戸惑っただろう。二人の「光と影」の関係性や芝居が少しだけ描かれるが、いっそこの関係を2時間観たかったなあ(笑)。山下智久は優しさに潜む「ワル」の顔が演じ切れていなかった。唯一キレがあったのが、山崎努である。この存在感がなかったら、もっとダレていただろう。メイキングでも堀北とかコメントに困っていたぞ(笑)。見応えは?の問いにTVよりもキャストが増えたこと、と答えていたのが笑えた。言うことがなかったんだろうなあ。TVドラマ演出と活動写真は違う。石井監督もそのへんを考えて再チャレンジしてほしい。完全に星1つだが、特典ディスクがまあまあだったので、+1つ。