桑原 水菜
千億の夜をこえて ―炎の蜃気楼(ミラージュ) 〈40〉 (コバルト文庫)
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人気ランキング : 14300位
定価 : ¥ 630
販売元 : 集英社
発売日 : 2004-04-27 |
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大河ドラマが始まって |
大河ドラマが始まって、そう言えば『蜃気楼』の完結編読んでなかったと思い出し購入したのですが、もう涙、涙で文字が見えなくなるくらい泣きながら読み終えました。完結から4?5年経っていますが、当時の私が読んでも納得できない結末だったかもしれません。ほんの少し大人になってから読んでみると「高耶と直江」の愛の結末に悲しい涙ではなく、優しい涙が流れました。
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”愛するということ”は・・・ |
途中、何度か読むことを断念しかけた世界。
最終巻が発売されたことを知って、直江と高耶のことが気になって、途中だったおよそ10巻分を一気に読みきってしまいました。
あの当時も何度も泣いて、目を腫らして、自分の大事な人たちのことと重ねて読んだ。
直江と高耶には絶対幸せになってほしいと想っていた。
これだけ苦悩して、葛藤して、互いに傷つき、それでも、
愛しあってきた二人だから・・・・
この結末は、ほんとは正直悲しい。
でも、いつかたどりつく二人の”約束の地”に思いをはせると羨ましくもあるなぁ、
と時間がたつにつれて思えてくるようになりました。少しは。
二人から、
愛するということ。
愛する人を想うこと。
愛する人を想う自分を考えること。
ほんとに”生きる”ということ。
”死”ということ。
いっぱい、いっぱい教えてもらいました。
ただ、生きていたらなんてもったいないと、
教えられました。
ただただ、ひれ伏すほどに感謝です。
この二人の想いと愛と戦いと、その人生に。
ありがとう!
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表紙もキレイ |
実は私自身、この『炎の蜃気楼』を最近知りました。そしてあっという間に魅せられ、ファンになりました。
この本を通じて私は、生命、愛、存在、人間というものについて、とても深く考えさせられました。ファンの私からすればひどく名残惜しく、またまさに文字通り断腸の巻でした。この一冊で、シリーズが終わってしまうと思うと残念で、とても落胆します。
少し内容が重い、というのはありますが、その濃さあってこその作品だと思います。ちょっと、男同士の恋愛は見ただけで吐き気が・・・。という人には残念ながらお勧めできませんが、そうでないなら、一度は、ゼヒとも、手にとってもらいたい作品です。主人公高耶と直江の心の動き、人生を賭けた行動すべてが深くて感じ入ります。その真骨頂とも呼べる最終巻です。深い、と言っても内容を何時間も考える必要はなく、細かい所までの描写がある文章なので、読みやすいです。ただ、登場人物がたくさんおり、それぞれがそれぞれの動きをしているので、場面が頻繁に変わって煩雑な、部分は多少あるかもしれませんが。ですが、それを打ち消す内容と文章は本当に素晴らしいです。
物語に感情を移入しすぎてしまうと、見ているうちにキツくなり、本を閉じたくなりますが(私はそうでしたが)、何とか、最後まで読んでほしいです。きっと、この物語の偉大さ、壮大さを分かると思います。
私はそんな読書家というわけではないので、比べる対照が多いわけではないですが、私が今まで読んだ本の中で強く、推薦できるシリーズです。40冊もあるので、読む前にウッと身構えてしまう人も多いと思います。最初は気軽な気持ちで手にとって見てはどうでしょうか?すぐ、面白くなってくると思います。ただ、唯一の大きな欠点は、のめりこんでしまうと、時間を忘れて何事も手につかなくなることですが(体験談)・・・。
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終わった・・・ |
タイムリーにラストを読んだのにあまりの衝撃で(予想していたラストでしたが・・・)、自分の中で消化しきれませんでした。
ラストはかなり生き急いでいる感があり、正直、性急な、書き切れてないのでは?と思うところもありましたが、それ以上に
真摯な容赦のないラストにやられました。今頃読み返し、なんとなく整理がついたと感じます。
この作品を読み続けて、途中で主人公たちの年齢を追い越し、そしてラストを見た今、ずっと消息を絶っていた友人の、
取り返しのつかない顛末を第三者からの手紙で遅まきながら知った、というような、無力感、脱力感を味わいました。
心のどこかで、どうしているんだろう、と気にかけていたあの人が、実はとっくに、そんな憂慮すら役に立たないことになっていたんだ、
という感じです。
彼らは400年生きてきた設定ですが、自分が出会った主人公は22年精一杯生きてきたという印象が強く、特に、他の主要人物と出会う前は記憶もなく、
実質17歳からスタートした5年間、濃すぎる怒涛の生を駈けてきたと思うと・・・
またそのたった5年間に400年のすべてが凝縮されてるんです。もうそれだけで、凄い作品だなあと、素直に圧倒されます。
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生きていきます |
この作品に出会えて良かった。それを私は今だから 二年以上前に最終巻を手にして幸福を戴いた時の何倍も感じています。
大切な、大切な、決して失いたくない人を2005年の秋に失ってしまった私は 自らの生を終わらせるか発狂できないものかという想いに囚われて生き地獄を味わいました。もがいて、足掻いて... 自分の愚かしさや天を呪い 先を見つめることなど到底出来なくなってしまいました。
それが、絶望の闇の中で射す一筋の光のように ふと読み返してみたくなった衝動のお陰で、今もこうして生きて感謝を綴れます。 私と私の大切な人が 彼らの生き様に救われているからです。信じることの難しさと容易さを教えてくださって 本当にありがとうございました。