1974年・・・そういえばオイルショックの翌年だったっけ。中日優勝の年でもある。こうして30曲聴いてみると、今でも耳にする歌も多く名曲揃いだけれど、特に気に入ったのが、ディスク2の最後の2曲、岡崎友紀「私は忘れない」と三輪車「水色の街」。2曲とも久しぶりに聴いたけど、こんないい歌だったっけ。
当時、小学4年のガキだったオレにしてみれば、学校も近所も友だちがいっぱいで楽しかったし、創設直後でクラスの半分ほどがドッ、と入ったブラスバンドにも萌え……いや、燃えてたし、初恋もおそらくこの年だったりで、1974=昭和49年、という年は《自分史上最高の年》(!)、という感じすらあるんだが、前年秋のオイルショックで一気に景気が冷え込んだ世間はそうはいかなくて、ここに収められた30曲の中にも、それが微妙な影を落としている。中村雅俊の「ふれあい」という、どちらかというと地味な楽曲が人々の心をとらえ、2か月ほども1位を続けてミリオンも突破、という売れ方ひとつとっても、この頃を読み解くための、いろんなものが見えてくる、ような気がする。
この年、いつもニコニコ・天真爛漫キャラで大人気だった天地真理が哀愁路線に転換すると同時に、その笑顔までも棄ててしまい、そのまま下降を開始。その一方、アイドルとしては(笑顔でいる時も)どこかに翳りをたたえたそのキャラが欠点であるように思われていた山口百恵が本格的にブレイク……、というふたつの出来事も、それを象徴する、ふたりの楽曲が両方収められているので、ここで追体験できるのではないか(「もし、オイルショックがなかったら、山口百恵はあれだけのビッグな存在になったのだろうか……?!」などと、時々オレは考えることがあるのだが)。
なお『続・青春歌年鑑 1974』も、テレサ・テン(この年日本でデビュー)による北京語カバーが中華圏で大ヒットした「グッド・バイ・マイ・ラブ」の、アン・ルイスによるオリジナルをはじめ、こちらと遜色なく、いい楽曲が揃っている。